デンマークの代表的なネオアコバンド、Gangway。彼らの1986年の2ndアルバム『Sitting In The Park』にはブートレグ(リプロ = 海賊版 以下:ブート)が存在します。このブートは比較的精巧に作られていて、ぱっと見では区別がつきません。
オリジナルとブートの見分け方については既にネット上に情報がありますが、最近ようやくオリジナルを入手できたので、改めてまとめてみました。また、既存情報にはないオリジナルとブートレグの違いも発見しましたので、併せて解説します。
ちなみに、私はどちらも千円台で入手できました。同じような値段で買うならオリジナルが良いに決まっていますので、これが購入の際の参考になれば幸いです。また、2021年のレコードストアデイで、1stアルバム『The Twist』と一緒に正規再発もされています。ブートを買うくらいなら、こちらを選択するのも良いと思います。いずれにせよ、聴く価値のある作品です。
オリジナルとブートの比較
ジャケットの表と裏
ジャケットはおそらくただのコピーで、表裏を見ただけでは区別がつきにくいです。よく見ると、ブートのほうが淡い感じがしますが、実物で比較しないとわかりにくいでしょう。
ジャケットの背表紙
ジャケットの背表紙には微妙な違いがあります。特に下部の品番の「IRMG」と「14」の間にスペースがあるのがオリジナルですが、これも少し覚えにくく、比較しないとわかりにくいでしょう。
インナースリーブ
インナースリーブはどちらも無地なので、見分けがつかないでしょう。強いて言えば、ブートのほうが真新しい雰囲気を感じます。
ラベル
ラベルには明確な違いがあります。複数ありますので、箇条書きでまとめます。
- オリジナルのラベルにはGANGWAYのロゴがジャケットのデザインと同じフォントで使用されていますが、ブートは異なるフォントが使われている
- 回転数「33⅓」の文字は、オリジナルでは左下に垂れるようなデザインのフォントが使用されていますが、ブートレグでは左上に上がるようなデザインになっている
- オリジナルのラベルには段が複数見られますが、ブートレグはセンターのみ段がある
- ブートは、タイトルの「IN」がセンターホールにかぶっていて粗悪感がある
※ちなみに、ラベルが黄色のものがあります。それは1991年に別のレーベルElectra Denmarkから正規再発されたバージョンです。
参考リンク:Discogs
マトリクス
マトリクスにも違いがあります。オリジナルは正規っぽくスタンプが押されていますが、ブートレグは手書きになっています。
サウンド
実際の音を比較すると違いがありました。やはりオリジナルのほうがクリアで良い音でした。ブートは全体的にこもった印象です。
また、決定的な違いも発見しました。なんとブートは1曲目の「The Party Is Over」の出だしの音が途切れているのです。
既存のYouTube音源が埋め込めなかったため、オリジナルとブートの違いがわかる動画を作ってみました。
しかし結局、埋め込むことができませんでした。興味のある方はYouTubeで聴いてみてください。
とにかく、ブートはサウンド的な面でも価値がないということがよくわかると思います。
まとめ
オリジナルとブートの見分け方として、大事なポイントをまとめたいと思います。ポイントは2つです。
・外側だけでは判断しづらいので、中のレコードのラベルを確認し、GANGWAYのロゴがジャケットのデザインと同じかを確認する。
・ブートはサウンド的にも劣り価値がないので、極力買わないようにしましょう。
この2つが大事だと思います。
ネオアコのレコードのブート(リプロ)は他にも多数存在する
ネオアコのレコードのブートは他にも多数存在します。
Velvet Crush、The Man From Delmonte、Dislocation Dance、My Bloody Valentine、The Farmer’s Boysなど。これらはすべてラベルが真っ白なブートがよく売られています。音もよくありません。
Border Boys、The Wallflowers、Jim Jiminee、Memphisなどもブートがあります。これらはすべて7インチのフォーマットで、やはりラベルが真っ白になっています。(Jim Jimineeはジャケットのデザインが異なる正規の7インチも出ています。ラベルを確認しましょう。)
これらのネオアコのブートは、かつて東京のレコード屋によって作られたとされています。それだけこのジャンルが当時人気があった証拠とも言えますが、ブートの品質や正規盤との差異を理解して購入することが重要です。特に、サウンドクオリティや収集価値を重視するなら、オリジナルや正規再発版を選ぶべきだと思います。
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